南大股橋梁 ~明治末期の鋼材輸入の歴史を伝える銘板~
☆南大股橋梁~明治末期の鋼材輸入の歴史を伝える銘板~
愛知県の武豊線半田駅近くにある、水路と1.2mの高さ制限のある道路を跨ぐ小さな橋。
銘板には以下のような文字が刻まれ、官営製鉄所と並んで、明治橋にも使われているDORMAN LONGを始め、英国の鉄鋼メーカーの名がずらりと並んでいます。
明治四拾四年
汽車製造合資会社製作
LIVE LORD COOPER’S E33
鐵道院
MATERIALS
I-BEAM LANARKSHIRE STEEL CO.
CHANNEL I.J.G. STEEL WORKS.
ANGLE DORMAN LONG & CO.
PLATE CONSETT IRON CO.
RIVET DAVID COLVILLE & SONS.
東海道線の建設資材運搬の為に1886年(明治19年)に開業した武豊線。1901年(明治34年)には官営八幡製鉄所が創業しますが、日露戦争もあり鉄の需要は急増して慢性的に不足していました。ポーナルによる作錬式鈑桁の設計・標準化後も英国等からの輸入に依存していた鉄道橋は、小規模の桁を中心に徐々に国産化して行く中、各橋梁メーカーが多くの鉄鋼メーカーと折衝し、鋼材の確保に奔走していた事を伺わせます。
多くの物資を運んで我が国のインフラ整備に貢献し、鋼材輸入の歴史を今に伝えるこの橋も、現在施行中の半田連立に伴い撤去される見込みで、また新たな鋼材として生まれ変わることでしょう。
竣 工:1911年(明治44年)頃
構 造:上路エ形桁橋
参考文献
・半田市の鉄道高架とまちづくり
投稿日時 2021-06-07 18:45:00
投稿:伊藤 純