身近な100年橋梁 呉服橋架道橋(東京都千代田区)

☆呉服橋架道橋(東京都千代田区)
 本橋はJR京浜東北線,山手線が東京駅の北側で永代通りを跨ぐ架道橋で,1910年(明治43年)に竣工し,現在も使用される100年橋梁である。橋梁形式は下路式の3径間ゲルバー鈑桁橋であり,中央径間は桁高を低くして桁下空間を確保している。
 本橋を含む新橋(汐留)駅と上野駅の間を,市街地を貫く形で結ぶ計画は1889年に東京府から告知がなされたが,この時モデルとされたのはドイツのベルリン市街線であり,煉瓦造連続アーチを基本として,本橋のように道路を跨ぐ部分は鉄桁の高架橋が計画された。
 ちなみに,東京駅の有楽町駅側にある鍛冶橋架道橋は本橋と同じ設計であり,ドイツの示方書により機関車荷重で設計がなされている。橋を支える鉄柱の上下端には装飾が施されており,当時のデザイン性に対する配慮が見て取れる。鉄柱間のブレースは,ロッドで構成された当初の形も一部残るが,ほとんどは形鋼に置き替えられている。
#下から見上げる橋梁工学

投稿日時 2018-06-10 12:25:00

投稿:山浦明洋