奥ヶ谷川橋梁 ~1/4オフセット長手積みが残る橋~

☆奥ヶ谷川橋梁 ~1/4オフセット長手積みが残る橋~
 豊州鉄道が建設し、複線化を考慮した下駄歯構造のアーチ橋の一つ。
 煉瓦積みの橋やトンネルと言えば、側壁がイギリス積み、アーチ環が長手積みが殆どで、側壁についてはたまにフレミッシュ積みや長手積みという例外も見かけます。一方でアーチ環については、全てが煉瓦を1/2づつずらして積む(1/2オフセット)長手積み、と思っていたのですが、こちらは1/4づつずらす 「1/4オフセット長手積み」 !! 豊州鉄道の中でもここだけ、というか国内でも全く見聞きしたことがない珍しい構造です。
 豊州鉄道と言えば九州鉄道と同様、ドイツ人技師ヘルマン・ルムシュッテル氏の指導を仰いでいましたが、欧州では1/4、1/3オフセット等の長手積みもあるらしく、その影響を受けたものでしょうか。下駄歯にする際に特にメリットがあるとも思えず、目地の間隔が短くなることでクラックが入り易くなり構造的にはデメリットしかないと判断され、国内では全く評価されず普及しなかったのかも知れません。
 今年は豊州鉄道開業からちょうど130年。今では平成筑豊鉄道と社名も変わっていますが、派手な下駄歯に目を奪われて埋没しがちな 1/4オフセット長手積み にスポットライトを当てて見ました。

参考文献
 ・北九州地方の鉄道橋梁に見られるレンガ・石積みの構造的特徴に関する研究/小野田 滋

#BridgeTrek                                            

投稿日時 2025-06-22 22:28:56

投稿:伊藤 純