COLUMN8:都市の成長を支援するアンダーパス工法

COLUMN8:都市の成長を支援するアンダーパス工法

「アンダーパスunderpass」とは
既存の交通施設(道路、鉄道)の直下に構築する地下道路や共同溝のこと。多くの場合、道路や鉄道の下にもぐり込む地下立体交差を非開削工法で施工するもので、成長する都市部やその近郊では、多くの事例を見ることができる。
通常営業している道路や鉄道の直下での施工になり、安全確保と工期短縮が重要課題だ。このため各種の革新的な工法が発案され、実績を積み重ねている。例えば、アンダーパス技術協会の公式HPによれば、R&C工法、SFT工法、FJ工法、ESA工法などがあり、それらの工法の特徴とメカニズムが、実施例とともに紹介されている。

☆東京外環に現れた巨大鋼製函体(ボックスカルバート)
 ここでは、R&C工法(Roof & Culvert Method)により大規模ボックスカルバートを構築した「東京外かく環状道路京成菅野駅アンダーパス」に登場してもらおう。
 施工手順としては、まずは、箱形ルーフにより通常営業する京成電鉄本線の直下周辺を防護する。その後、本構造物となる道路函体(ここでは、鋼製のボックスカルバート)を構築し、次工程として函体を引き込む。再度、工事中も直上の鉄道営業を妨げないこ とがR&C工法の特徴だ。
 出来上がった道路函体は、6階建てビル規模の高さ18.4m、幅43.8mの世界最大級の断面となり、写真からその威容がこちらに伝わる。そして、東京外環が開通すれば、このような光景は二度と見ることができない。利用者としてここのどこかを通過することになる。当プロジェクトは、日本建設業連合会 第2回土木賞(土木構造物の施工プロセスを重視する新たな表彰)を受賞している。
 鉄道であれ道路であれ、立体交差部の上部施設と地下部を同時に新設するのであれば、あるいは、上部路線の営業を完全にストップして施工するのであれば、このようなアンダーパス工法は必要ない。休みなく成長する都市を増幅するため、先進のアンダーパス工法が活躍する日々は続く。

(画像提供=アンダーパス技術協会)

投稿日時 2024-09-03 21:56:28

投稿:吉川弘道