COLUMN7 海に浮かぶ巨大船 グラブ浚渫船と起重機船
COLUMN7 海に浮かぶ巨大船 グラブ浚渫船と起重機船
近年の海洋プロジェクトでは、先進機能が搭載された大型の工事用船舶が、安全かつ迅速な大規模工事をサポートしている。工事用船舶といえば、たとえば、浚渫(しゅんせつ)船(浚渫:港湾や河川の水底土砂を浚(さら)い取り去る土木工事)、起重機船(重量物の吊揚げ/吊下げを行う作業船)、自己昇降式作業台船(昇降が可能な作業台船で、SEPの略称で知られる)、などが思い浮かぶ。
ここでは、見た目からも頼もしさが滲みでる2つの工事用船舶を紹介したい。
☆ギネス世界記録に公式認定されたグラブ浚渫船「五祥」
グラブ浚渫船「五祥(ごしょう)」(小島組保有)は、世界最大のグラブバケット(土砂をつかみ取り排土する鋼製容器)を有する浚渫船。ギネス認定書では、正式記録名/LARGEST GRAB DREDGER(世界最大のグラブ浚渫船)、認定記録/グラブバケット(容量200㎥)などが記されている。
一度に、最大200㎥もの土砂を海底からつかみとり引き揚げるが、これは、航路/泊地の水深を保つための浚渫や海上施設の基礎の床掘(とこぼり)に威力を発揮する。近年は国外での業務が増え、“海外出張中” が長く続いているとのこと。
☆非自航ジブ俯仰(ふぎょう)式起重機船「第50吉田号」
最大高低差102m、巻上荷重3700トンの高性能を誇る第50吉田号(YOSHIDA GC保有)は、まさしく海の上の力持ち。加えて、水面上30mまでジブ(肘=アーム)を倒して橋桁下を通行することができ、また厳しい海象条件に対応した係留が可能だ。
画像を見てみると、これは、今話題の洋上風車の機器を取り扱っている。洋上風力発電施設(着床式と浮体式がある)は、今後数兆円の市場規模に成長が見込まれる分野であり、次世代に向けたワンショットでもある。
☆我が国の海岸線延長は約3万5000kmにも及び、世界第6位となる海洋王国。そこで培われた海洋工事技術が、
すでに海外展開していることは言うまでもない。
#ドキドキしなきゃ土木じゃない
投稿日時 2024-09-03 21:52:45
投稿:吉川弘道