土木の不思議:仲間外れはどれ? -Part1:曲げ破壊 vs. せん断破壊-
☆☆土木の不思議:仲間外れはどれ?☆
-Part1:曲げ破壊 vs. せん断破壊-
(断面寸法は高さ77mm 幅70mm、そして長さは750mm(スパンは600mm))
☆問題:写真1と写真2は、小型供試体による載荷試験終了後の9体を示している。この中で、一つだけ仲間外れがある。それはどれか?(答えは、最後にて)。
☆破壊型式の一般的な挙動:
(a)曲げ破壊:中央支間(純曲げ区間)にて、曲げひび割れが下縁から 3~4 本程度発生し、中立軸にまで及んでいる。その後、引張鉄筋が降伏し、圧縮側(上縁側)のコンクリートが圧縮破壊し終局に至る。
(b)せん断破壊:中央支間にて曲げひび割れが数本発生するが特に発達せず、同時に、左右両側のせん断スパン腹部にて、微細な斜めひび割れが認めらる。せん断スパン(左右いずれか)にて急激に斜め割れが発達/開口し、終局に至る。
☆曲げ破壊とせん断破壊:
鉄筋コンクリートは、適当量の鉄筋(引張鉄筋)により、初期ひび割れ以降も構造体として機能する。初期ひび割れの後、数本の曲げひび割れが、(正の曲げの場合)下縁より上方に進展する。鉄筋量の増大によって曲げ耐力は増大するが、せん断破壊を励起することがある。
☆答え:仲間外れは、写真1中段左、写真2上段右
曲げ破壊は、通例複数本の曲げひび割れが下縁側から発生し、引張鉄筋の降伏、圧縮側コンクリートの圧縮破壊となる。一方、せん断破壊は、左右のせん断スパン(載荷点と支点の間)にて斜めひび割れのが見られる。従って、それぞれ9体の供試体では、写真1中段左、または写真2上段右が仲間外れ(せん断破壊)であり、その他すべて曲げ破壊。
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投稿日時 2022-06-11 22:04:00
投稿:東京都市大学 コンクリート研究室