梅田出路橋梁(上り線)~ビルと法の壁に風穴を開けた道路~(大阪府)

 道路はビルの5~7階部分を抜け、橋桁はビル両脇に建てられた橋脚で受けていて橋とビルとは非接触、それぞれ独立しています。
 阪神高速池田線梅田出口は、梅田地区の混雑緩和を目的に計画されましたが、大阪の一等地であるため地権者との移転交渉は難航していました。そんな中、1989年の道路法改正で「立体道路制度」が整備され、上下を限定した道路区域の設定が可能に。従来、道路区域については道路法・建築基準法・都市計画法により、建築物の建築は制限され不可能でしたが、立体道路制度の適用によりこれが可能となり、建築審査会の同意・区分地上権設定の上、道路と建物が一体的に整備されました。
 道路にはビル内とビル前後5mにシェルターを設置して道路保全と交通安全を図っており、火災の延焼・排気ガスの建物への付着も防止し、騒音公害も抑止しています。
 ビルを貫通する道路として世界的にも有名な施設ですが、法律の壁を破った歴史的な道路と言ってもいいかもしれません。革新的な施設の実現には、技術革新だけでなく法整備も欠かせません。

・竣工:1992年(平成4年)
・構造:鋼床版箱桁橋
・ビル:TKPゲートタワービル  S造・SRC造、地下2階地上16階建て(建築基準法上は地上13階建て)

参考文献
・阪神高速道路梅田出口供用開始ー立体道路制度適用第一号(道路行政セミナー1992年9月号)
https://www.hido.or.jp/14gyousei_backnumber/1992_data/seminar9209.pdf

#BridgeTrek

投稿日時 2022-03-27 22:39:00

投稿:Jun Ito