大阪万博のレガシー“太陽の塔” 芸術家岡本太郎がデザインした SRC 造搭状施設
☆シビルNPO連携プラットフォーム:CNCP通信VOL.79/2020.11.5

それは、2014 年 晩夏の夕刻、大阪出張先での出来事でした。たまたま万博記念公園駅近くのホテルを予約し、太陽の塔に期せずして再会したのです。駅を降りて背後に何か気配を感じ振りむいたら、この塔がこちらを見ていたのです。
『生きていたんだ、太陽の塔』。高校3年の修学旅行で訪れた大阪万博以来なので、40 年振りの再会でしょうか。『元気だった?』と尋ねたら、黄金の顔がコクンとうなずいていた(ような気がした)ので、『(私は)こんな大人になりました』と報告しました。思いもかけない半世紀ぶりの会話で、何か目頭が熱くなるのを感じながらホテルのチェックインに急ぎました。
 この太陽の塔は、大阪万博のシンボルとして設置された高さ約70m の SRC造搭状施設。岡本太郎がデザインした巨大塔は、未来を象徴する頂部の“黄金の顔”、現在を象徴する正面の“太陽の顔”、過去を象徴する背面の“黒い太陽”、の3つ顔を持つ。昭和真っただ中にあって、この塔に見守られながら、それぞれに異彩を放つ外国/企業系のパビリオンを渡り歩き、次々に出っくわすカルチャーショックを享受していました。
 ‘太陽の塔オフィシャルサイト’によれば、再生事業として、塔の耐震工事の実施と内部展示の「生命の樹」、第4の顔「地底の太陽」を復元し、既に一般公開しています。また、塔の構造は、下部がRC造、中央部がSRC造、上部と腕部がS造の地下1階地上2階建て延べ 1304m2。耐震改修工事も完了しています。
 さて、1970年当時は大学受験を控え、理系とは決めていましたが、どんな学部/学科が良いか逡巡している時期。そんな折り、コンクリート建造物との邂逅を果たしていたのでした。大学進学後は、卒論でコンクリート構造を選択しました。ゼネコン入社、大学土木工学科教授、そして、現在に至るまでコンクリート構造学に嵌まっていました。

投稿日時 2022-02-24 16:06:00

投稿:yoshikawa hiromichi