大宮橋(大阪府) -忘れ去られた英国製70ft錬鉄トラス-
大宮橋(おおみやばし)
わが国最初の鉄道用鉄橋は、1874年開通の大阪・神戸間に使用された70ft複線ポニーワーレントラスで、転用橋も含め、唯一「浜中津橋」の残存が確認されていました。ところが昨年になり、SNSにて新たに同一の主構らしき橋の発見が報告されました。国道170号の旧道で、熊取町を流れる見出川に架かる上路ワーレントラス橋です。
構造については、上下弦材と垂直な端柱はΠ断面で、アイバーで弦材にピン結合された8パネルの主構、ここまでは武庫川橋梁と共通。本橋は上弦材に横桁を渡し床版を支えています。ざっくりと上流側の側面図を描き、武庫川橋梁の図面を左右反転したものと並べて主構を比較してみると、鉄道橋の横桁ブラケットであろう部材Aだけでなく、添接板X・Y・Zの位置も概ね一致。部材Bは武庫川橋梁には無い部材ですが、浜中津橋の横桁もこの位置に設置されており、浜中津橋と同様下路橋として使用されていた名残か…。竣工年は1931年なので、「1936年以前に撤去」とされている「長柄橋」からの再転用の可能性もありそうです。3主桁には中央桁と側桁がありますが、上流側・下流側で特に違いも見当たらず、浜中津橋で見られた斜材の添接も無く、同一桁を利用したように見えました。
現時点でこの主構が英国製トラスとは断定できませんが、非常に貴重な発見であることは疑うべくもなく、土木史を専門とされる諸先生方の詳細な調査・報告を期待します。最後にこの貴重な橋の発見者様に感謝申し上げます。
発見者:かるお@Oldroutewalker 氏
竣 工:1931年(昭和6年)
橋長/幅員:21.6m/6.0m
参考文献
1)本邦鐵道橋梁ノ沿革ニ就テ
2)現存するわが国最初の鉄道用鉄桁
3)明治時代に製作された鉄道トラス橋の歴史と現状(第2報)
4)第6回大阪府道路メンテナンス会議資料
投稿日時 2020-08-08 18:11:00
投稿:伊藤 純