排砂設備を整え、黒部川で唯一の多目的ダムである宇奈月ダム
富山県黒部市にある国土交通省直轄の宇奈月ダムは、黒部川水系唯一の多目的ダムで、洪水調節、不特定利水、上水道供給の他、発電を関西電力が受け持っている。
黒部川は電源開発に比べ治水事業は立ち遅れていたため、1969年(昭和44年)8月の集中豪雨では、黒部川の堤防が決壊し流域に甚大なる被害を与えた。
建設省北陸地方建設局(現・国土交通省北陸地方整備局)は、黒部川の抜本的な洪水調節と利水を目的とし、多目的ダムを建設する計画を発表し1979年(昭和54年)に事業に着手、2001年(平成13年)に完成させた。
宇奈月ダムの特徴は、排砂設備が設置されており、堆砂により機能が失われないようにするため、上流の出し平ダム(関西電力)と連携排砂して排砂を行うことで、ダムの堆砂を防ごうとしている。しかし、漁業関係者からは排砂中止を求められ訴訟も起きているため、洪水調整をしながら排砂放流を行っている。宇奈月ダムでは、排砂に伴う水路部等の耐摩耗性に限界があることから、水路部等に石材ライニングと鋼製ライニングを採用している(写真2参照)。
〇宇奈月ダムの諸元
ダム型式:重力式コンクリートダム
堤高:97.0m、堤頂長:190.0m、堤体積:510,000m3
総貯水容量:24,700,000m3
発電所名(認可出力):宇奈月発電所(20,000kW)
施工業者:前田建設工業・佐藤工業
着手年/竣工年:1974年/2001年
【参考文献等】宇奈月ダム:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%A5%88%E6%9C%88%E3%83%80%E3%83%A0
【写真】平成30年8月投稿者が撮影
投稿日時 2018-12-23 17:28:00
投稿:佐藤祐明