江戸の上水を守った「投渡堰」

羽村取水堰は1654年、多摩川の水を玉川上水へ引き込むために建設された。当時、江戸は人口急増によって、上水が足りなくなっていたからだ。

ふだんは門扉を閉じて水をため、堰と直角に設けられた第一水門から取水、30m下流にある第二水門で水量を調整して玉川上水へ流す。

複数の支柱の間に桁を渡し、「投渡木(なぎ)」と呼ばれる横架材を並べて垂直材で支える構造。大水の際は、垂直材の丸太を取り払い、投渡木ごと多摩川に流してしまうことから、「投渡堰(なげわたしぜき)」と呼ばれる。

洪水が第一水門を破壊し、濁水が玉川上水に流れ込む被害を防ぐために、こうした構造になっている。

現在の羽村取水堰は、1911年に木製からコンクリート造に改築されたものだが、基本的なしくみは建設当初のまま。360年以上にわたり、 玉川上水を守り続けている。

投稿日時 2018-03-29 14:58:00

投稿:三上美絵