日本にもこんな街並みがあったんだ! ベルコリーヌ南大沢(東京都八王子市)

 赤茶けた傾斜屋根を持つ瀟洒な建物群に一歩踏み入ると、そこは中世の街並みと見紛おうばかりの原風景に向かい合うことになる。蛇行した街区内の通路(ミニペデ)は、周辺の大歩道(スーパーペデ)とも併せ、住民には馴染んだ生活圏であるが、余所者には迷宮と化す。
 都心西方に建設された多摩ニュータウンは、「新しい住文化の創造と提案」(当時の住宅・都市整備公団資料)の一つとして、ここベルコリーヌ南大沢(Belle-Colline:フランス語で‘美しい丘’)は登場した。
当時の日経アーキテクチュア(1990年4-16号)によれば、マスターアーキテクトの監修の元、街区毎のブロックアーキテクトおよびランドスケープデザインにより、ここベルコリーヌ南大沢は設計された、と解説している。
 南欧山岳都市をイメージしたという丘陵都市は多くの話題を呼んだが、分譲後間もなく発覚した瑕疵問題で大騒ぎとなった。街区ごとに、建替えまたは補修・補強がなされ、生まれ変わりつつあり、本年6月に、ベルコリーヌ南大沢の玄関口とも言うべき5-6住宅の全面建替え工事が竣工した。著名な建築家による当初の斬新なデザインが、四半世紀を経て、今度は住民の生活と活力で具現化することを願いたい。

投稿日時 2018-06-30 13:16:00

投稿:吉川弘道