「高熱隧道」(関西電力黒部専用鉄道の上部軌道)は、先人の尊い犠牲の上で建設された

 関西電力黒部専用鉄道は、富山県黒部川水系にある関西電力の水力発電施設を管理するため、黒部峡谷鉄道本線から分岐する関西電力の専用鉄道である。このうち、黒部峡谷鉄道欅平駅から黒部川第四発電所前まで6.5 kmの路線は「上部軌道」と呼ばれ、黒部ルートの一部となっている。
 1941年(昭和16年)9月、黒部川第三発電所関連施設建設のために、欅平から仙人谷まで開通し、1963年(昭和38年)8月、黒部川第四発電所関連施設建設のために、仙人谷から黒四発電所前まで延伸された。
仙人谷ダム建設時に工事用資材を運搬するために掘削され、仙人谷までの開通過程では、途中の阿曽原付近で「高熱隧道」と呼ばれる超高温区間で難航した。当時の岩盤温度は160℃にもなり、工事の際、ダイナマイトが地熱で自然発火する事故が幾度も発生し多くの人命が失われた。この区間を建設するための過酷な工事を紹介したものとして、吉村昭の小説「高熱隧道」がある。
 「高熱隧道」は、工事に従事した作業員の中から多くの死者を出し、泡雪崩(ほうなだれ)の犠牲者も含めた全工区の犠牲者は300人余りである。

【参考文献等】
〇関西電力黒部専用鉄道 - Wikipedia - ウィキペディア
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E8%A5%BF%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E9%BB%92%E9%83%A8%E5%B0%82%E7%94%A8%E9%89%84%E9%81%93
〇仙人谷ダム - Wikipedia - ウィキペディア
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%99%E4%BA%BA%E8%B0%B7%E3%83%80%E3%83%A0

#ぶらりインフラ探訪記

投稿日時 2018-12-15 10:41:00

投稿:佐藤祐明