黒部川第四発電所の大動脈である黒部専用鉄道「黒四インクライン」

 黒四インクラインは、富山県黒部市の黒部トンネル北側坑口(標高標高1325m)と黒四発電所(標高869m)の標高差456mを、傾斜角34度で斜路全長約815mを、搬器が片道20分で昇降する発電所用のケーブルカーである。
 黒四発電所の大型機器の搬入は、長野県大町市の扇沢から関電トンネル・黒部トンネルを経由して、全てこの黒四インクラインを利用した。
 黒四インクラインの建設は、黒四発電事業の全体から見ると第5工区に当たり、大成建設が施工した。高低差456m、斜度34度の斜坑掘削は世界的に例がなく、黒四発電所の上部軌道終点部の標高869mと中間部の標高1000、1100、1240mの地点の4カ所に横坑を掘り、4区間に分けて掘削した。
横坑は自然保護の観点から、本坑から数十メートルで達する黒部川本流側を避け、遠回りをして裏側の支流の赤谷側に掘られた。黒四インクラインは、昭和32年(1957)の雪解け時期から横坑の掘削開始し、昭和34年11月に完成した。
【黒四インクラインの諸元】
・線路傾斜こう長:815.461m、最大高低差:456.0m
・最高運転速度:毎秒0.667m(原動機:150kw、軌間:2000mm)
・最大積載重量:25t(乗車定員:36人)
【参考文献】ダムと鉄道―大事業の裏側にいつも列車が走っていた 著者:武田元秀(交通新聞社新書)
【写真】平成30年8月投稿者が撮影

投稿日時 2018-12-13 21:30:00

投稿:佐藤祐明